今日のオススメ!「すべての人類を破壊する。それらは再生できない」

あなたは世界最初のカードゲームを知っていますか?

すべての人類を破壊する。それらは再生できないとは?

月刊少年エースで2019年1月号から原作:伊瀬勝良、作画:横田卓馬、

監修・協力ウィザーズ・オブ・ザ・コースト連載されている本格トレーデイングカード漫画作品。

単行本は角川コミックスから発売されており、MTG(マジック:ザ・ギャザリング)を題材にした漫画作品である。

異世界転生物語のようなタイトルだが、舞台はファンタジー世界ではなく現実の90年代末の日本であり、

キャラクターの生死に関わるタイプの作品ではない。いわゆる1990年代を舞台とした青春マンガである。

ちなみにタイトルはMTG(マジック:ザ・ギャザリング)の「Wrath of God / 神の怒り」というカードのテキストが、

元になっている。

物語

1998年5月。中学校の教室の片隅に友人達とMTG(マジック:ザ・ギャザリング)に勤しむ主人公神納はじめがいた。

彼はテストの成績がいつも学年2位で、1位のヒロイン沢渡慧美をライバル視し、

日々勉学とMTGに浸る日々を送っていた。

ある日当時は珍しかったトレーディングカードショップ、喫茶店「しぶやま」へMTGのカードを探しに訪れる。

そこで神納はじめ沢渡慧美がMTGをプレイしているのを発見し、勝負を挑む。

90年代の終わりを舞台にした、本格カードゲーム漫画がここに始まる。

この漫画の見どころ

トレーディングカードゲームの始祖である『マジック:ザ・ギャザリング』を生んだウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の監修・協力の下、作成されたリアルカードゲーム漫画だと言うところである。

本作の舞台となる1998年のエキスパンション(ブースターパック)もそのまま登場しダイジェストの対戦にはなるが、

当時のMTGの大会の対戦環境を月単位で忠実に再現しているのが魅力だ。対戦描写は卓上で普通にカードを並べて遊ぶ、

という常識的なものだが、クリーチャー同士のバトルや、フィニッシュを狙った呪文の応酬などは漫画らしい派手な演出で

ゲームを盛り上げている。
とはいえ本作において重きを置かれているのはプレイ内容そのものよりもキャラクターを取り巻く日常の様々な感情の機微であり、中学生が初めてカードショップや公式大会に足を踏み入れる時の緊張感や、

サイドボード(大会中の入替カード)を用いたメタゲーム、心待ちにしていた新弾パックを開封しながら味わうインクの香り、そして何より意地っ張りな男女がカードゲームを通じて互いの新たな一面に触れていく青春の風景こそが、

本作の面白いポイントと言えるのではないだろうか

筆者が「すべての人類を破壊する。それらは再生できない」を勧める理由

この作品は“カードゲームの漫画”と聞いて連想されがちな、ときに人命や世界の命運をかけて熱いバトルを繰り広げる、いわゆる「カードゲームではよくあること」とは程遠い、90年代ゲーマーたちの間に確かに存在した「カードゲームでよくあったこと」を描いた作風が作者の気に入っているポイントである。

ファンタジーな要素や運命的な逆転劇があるわけではない。「現実に起こりおること」がここには多く描かれている

また内容ともに非常にマニアックではあるものの、骨子となっているのは普遍的なボーイミーツガールの青春グラフィティであり、最低限の解説に留められたダイジェスト形式のデュエルシーンはMTG未経験者には雰囲気だけで話の展開を、

呑み込めるテンポの良さとして、経験者には数コマ描かれた盤面から色々と“察する”読み込み要素として機能している。

またMTGのみならず当時の流行語や音楽、ゲームなどサブカルチャー全般に関する小ネタがセリフや背景にもぎっちりと散りばめられており、目を凝らせば凝らすほどに90年代の濃厚な世界が露わとなる、

アラサーホイホイっぷりも大きな魅力の一つ。

90年代ゲーマーたちの間に確かに存在した確かな時間、日常それらを感じながら読めるカードゲーム漫画は、

様々な同ジャンルの漫画がある中で唯一無二と言えるだろう。

遊戯王やデュエル・マスターズとは違うリアルなカードゲームの世界をぜひ読んでほしいと思う

まとめ

月刊少年エースで連載中の、1990年代を舞台とした青春マンガ「すべての人類を破壊する。それらは再生できない」

懐かしさと普遍的なボーイミーツガールの青春グラフィティをあなたも感じてみてはいかがだろうか。

※ちなみに作者はこれを機にMTGを始めたのは言うまでもない

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